日々様々な方から色々なご相談を
お受けしますが、つくづく
人生のあらゆる問題は、根源的には
自分が何者であるのかを
見失っていることからきている
と感じます。
自分は何者であるのか？
この命題の答えは、人間社会の
あらゆる立場や持ち物、生まれ育ち、
名前、役割、年収等の中にはありません。
けれども、
大抵私たちはそれらの中に、
自分自身のアイデンティティを
見出しています。
それこそが自分であると
思っている認識が
悲劇の始まりなのです。
その肩書きの自分、稼いでいる金額、
持っているもの、その家柄、役の自分
であること、ないことが、
様々な苦しみを生んでいきます。
そんなところに本質なんて
全く無いのに、
理想と現実のギャップに
どれだけの人が、どれほど
苦しんでいるでしょうか。
そして、
満たされない何かを埋めるため、
費やされている厖大なエネルギーは、
必ずしも昇華されるばかりではなく、
邪な道にそれていくことも
珍しくはありません。
不当なやり方で幻想の力を得ても、
それで本当にその人の本質が
豊かになるわけではないし、
その本質でないものに
のめり込んでいく程に、表面的には
満たされ、豊かであるようでいて、
根っこの方では無力感や無価値観、
あらゆる恐れに心は本当には
安らげないのです。
そしてますます人生の迷子に
なっていきます。
その状態から
人生を本当に調和の状態に導くには、
あらゆる幻想を追うのを止め、
自分自身に帰ることが
唯一の処方箋になります。
人生の迷子状態にある人には、
最もそうしたくないこと
かもしれませんね。
何故なら、そういう人たちは
自分が心底嫌で、自分で在りたくない、
自分の人生を生きるのではなく、
もっと別の違う人生を生きたい
と思っているからです。
そういう願いを追い求めて
今のその苦境に陥っていることに
気付いていないのです。
常に自分を苛む無力感や無価値観は、
自身の真の力と本当の価値で
満たすしか、癒す道はありません。
これは頭で理解するだけではダメで、
本当に真の力と価値に触れることで、
まさに知る必要があるのです。
自分に力が在ると知っていて、
価値ある存在であると感じられることで、
邪な道にそれることはなくなります。
その満ちた感覚から、
力強く自分の人生に踏み出すことができ、
個を越えて、もっと大きな力とともに
歩んでいる感覚が肌でわかるのです。
そうなれば、自分の分を越えた欲に
振り回されることもないから
力を誤用することもありません。
自分がどういう存在であるのか、
何を幸せに感じるのかを知る、
まさに「足るを知る」状態です。
十分に幸せである、と満ちたところに、
宇宙はさらに深遠な人生の神秘を
見せてきます。
欲に駆り立てられて獲得してきた
ものたちよりも、はるかに味わい深く、
魂を満たす神秘です。
この世界の多くの人たちが、
自身の真の力に触れられたら、
この世はどんなにか
美しい世界になるでしょうか。
そんなことを思いながら、
様々な傷やトラウマを越えて、
自分に帰れ、と今日も誰かの手を
引いています。