「種をまくに至った動機」を刈り取る

セッションやワークショップなどでみなさんのワークの誘導をしているとき、いつも私自身がとても興味深く拝見するのは、その方の中から魂の記憶が浮上してくるところです。つまり、過去世など、過去の体験の記憶のことなのですが、それがとても詳細に出てくるので、魂というのは決して忘れることは無いのだな、といつも思います。

ただ、体験の記憶は消えることはなくとも、癒しや解放が起こることによってどんどん変化していくことはあります。過去は固定されて変えられないもの、ではないんですね。

こうしたことは、ヒーリングなどをされている方にはよく知られたことですが、過去も未来も、固定されたものは何一つありません。私たちは無数のパラレルワールド(並行宇宙)を毎瞬、自在に行き来しながら自身の現実を体験しているのですね。

だから、セッションの最初に出てきたストーリーでは、嫉妬の余り相手に危害を加えてしまった、殺してしまったなどの出来事があったとしても、その嫉妬の根っこにある感情を癒したら、もう相手に危害を加える気持ちもさっぱりなくなって、結果相手を殺していないストーリーに変わっていたりします。

もう今現在の自分は、誰かを殺した過去世のストーリーを持っていない自分になっているわけです。当然そんな自分の未来も変わってきますよね。

これが、固定化された未来も過去もない、ということの意味です。

負のカルマを解消していくのも、こうしたプロセスを経て可能でしょう。

自分に向き合うことで、まだ芽を出していない負のカルマの種を見つけて、事前に対処できたりもするので、大難を小難に変えていくこともできるでしょう。何も種から目が出て大きく育ったところで格闘しなくてもいいですものね。

そのためには、しっかりと自身の真実に直面できる心の土台を養うことが大切だろうと思います。

私たちは長い長い魂の旅路の中で、様々な経験をしています。良いこともあったでしょうし、そうでなかったこともたくさんあったでしょう。中には、墓場まで持って行った秘密などがあったり、自分のしたことに深い後悔や罪悪感を抱えて二度と思い出したくもない!というようなこともあったかもしれません。

そんな思いを抱えて亡くなったら、それは確実に次の人生に持ち越しています。今世、特に思い当たるような体験をした覚えもないのに、不思議といつも罪悪感に苛まれていたり、知られてはいけない!と緊張していたり、という心の癖があるという場合、魂の記憶を引きずっているケースもあるでしょう。

不可解な思い癖を、その感情をじ~っと辿りながら感じて行くと、自分がそれに対して恐れなく開いていればですが、かつて何があったのかを知ることはできます。

別段、特殊なリーディング能力が無くても、ごくごく普通に出てくるので、初めての方は結構驚かれることが多いのですが、自分の内側から現れてくるものは、外側の誰かに伝えられるよりもはるかにインパクトもあり、深い意味があるでしょう。

セッションなどでは、大概そうした記憶に恐れなどで封印がかかっていることが多いので、この辺りを丁寧に対処していきます。すると、安心安全に出てきたものを受け止めていくことができるので、より詳細なストーリーを知ることができます。

ただ、詳細なストーリーを読み解いていくのはあくまで、そこにわだかまっている感情のより正確な質と輪郭を捉えるためです。

たとえば、深い恨みが出てきたとして、ただ漠然と「恨み」ではなく、誰に対して、なぜそこまで恨んでいるのかが分かれば、その恨みの質感がぐっと深く具体的に捕えられます。そして、飲み込んでいた言葉や微妙な気持ちの数々も、表現することができるでしょう。

多くの方が掘り下げ等で甘くなるのは、この具体性をしっかり突き詰めて捉えていないことに大きな原因があると私はしばしば感じます。

今この瞬間感じていることにじっと心を澄ませたとき、不安や焦燥感があったとします。これを掘り下げていくとするならば(体感覚から離れないようにしてやってください)、不安は恐れですから、自分が何を恐れているのかにしっかりと直面します。

具体的に、今の状況にずっといたとしたら、自分はどうなってしまうとあなたは感じているのでしょうか?そしてその状況で、あなたはどんな気持ちになるのでしょうか?

気が狂う、泣き崩れてしまう、絶望してしまうなど色々出てくるでしょう。そうしたら、その人生では、最後はどんな風に死んでいくように感じるか?と聞いてみます。

廃人のようになって一人孤独で淋しく死んでいくとか、悲しさに耐えきれずに自ら死を選んでしまうとか、悪さを一杯やって、誰かに殺されてしまうとか、人によって色々な答えが思い浮かぶと思います。

そうしたら、実はそこで終わりではないんですね。

その死の瞬間の状況まで、詳細を明らかにしていくのです。孤独に死ぬあなたは、家の中に居るのか道端で野垂れ死んでいるのか、自殺するとしたら、刃物で胸を突くのか水に入るのか、殺されるとしたら銃で撃たれるのか刺されるのか殴り殺されるのか、などなどです。

出てくる答えは、あなたの魂が記憶している体験のストーリーです。そこから、今度は時間を逆にたどってどうしてどんな状況になったのかを明らかにし、登場人物との間に生じた感情のわだかまりを解いていくわけです。

かつて自分が蒔いた種を、時間をさかのぼって「種をまくに至った動機」を刈り取るのですね。

これが感情解放ワークでやっていることなのです。

行為は結果ですから、そこだけ直してもまた同じ芽が出てきます。動機となっている感情をしっかりと受け止め、統合していきましょう。

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