何かに囚われていると、
その時受け取るべき本質が
見えなくなるということがあります。
セッションで、その方の意識を
リーディングしていると、
どこか明後日の方向に強い執着があって、
導きが本人に本当に受け取ってほしい
と願っていることが見えていない
という状態の方に出会うことがあります。
傍から見ていても、
う～ん、そこじゃないんだけどな。。。
というところにばかり一生懸命で、
どんなにヒントを出して気付きを促そうと、
本人の中ではそこは二の次三の次、あるいは
全く関心の範疇にはなく、意識はつるりを
そこをまたいで別のところに貼りつきます。
その人の人生の価値基準では、
導きの指し示すものよりも、
もっと大事なもの、重要事項があるんですね。
この、導きとは違った優先順位というのが
かなりネックになっていて、
これを変えていくというのは
実は思うほど簡単ではありません。
なぜかというと、その優先順位というのは、
その人の世界観そのものと言っても
良いくらいの価値基準であり、
その人はそれに従って
人生のあらゆる選択をし、諸々を
積み重ねてきているので、
それを変えるとなったら、
これまで構築し、積み重ねてきたものの
意味や価値が、根底から変わってしまう
ことになるのです。
だから、
人生そのものを変えていくことに
準備ができていない人には、
なかなか受け入れ難く、
なぜそこまでして
変えなければならないのか、
本人の中で強い動機がないと、
そんな大変革に進もうとは
どうしても思えないのです。
たとえば、
学歴や偏差値至上主義で
人生を生きてきた人が、
それを捨てて別の価値観を受け入れる
となったらどうでしょう。
自分の価値を保証していた基準が
無くなってしまったら、
その価値を得るために費やしてきた
厖大な時間とエネルギーを、
どう受け止めたら良いでしょう。
その価値基準に合致するように
作り上げてきた自分に、別の価値を
見出すことが、すぐにできるでしょうか。
もちろん、必ずしも難しく感じる
人ばかりではないでしょうが、
別の価値観を受け入れ、
それで生きていくというのは、
相応の変化の波が、その人の存在の
あらゆるレベルを揺さぶりながら
通過していくことを意味しています。
そうであってもなお、
導きはその変化に身を投じることを
促すこともあるのです。
人によっては、
その呼びかけを受け入れ、応えるまでに、
何年もかかる人もあるでしょう。
けれど、それに応えて
硬直したその価値観にヒビを入れ、
自分の世界観に疑問を投げかけ始めた
その時から、人生は大きく変わっていきます。
決定的に入ったそのヒビ割れから、
多くの気付きのエッセンスが流れ込み、
導きが本当に受け取ってほしかった
善きものが、受け取れるように
なっていくでしょう。
そうして初めてその人は、
なぜ導きが自分をそのように導いてきたのか、
かつての世界観がどれほど自分を制限し、
本来の豊かさと喜びから遠ざけていたのかを
知るのです。
囚われの中にいるときは、
そういうことはわかりません。
それでも、自らの内の深いところから
抑えようもなくやってくる
何かの感覚、衝動によって、
未知の世界に飛び込んで行かなくては
いけない時があるんですね。
一歩を踏み出す時は恐いけれど、
プロセスが深まる程に、
それは紛れもなく恩寵であることが
わかるでしょう。
そういう衝動もなく、
未知に対して保証の言質を求める人は、
まだタイミングではないのかもしれません。
そんな保証など、どれだけされても
意味のないことです。
それはただ、自身の深奥の
「既に知っている感覚」によって
自ら知るしかないものです。
頭でもっともらしい理屈をこねくり回して
得た保障によって、進めるような
歩みでもありません。
深く、自身の深奥と対話することによってのみ
知ることができる道があるのだと
どうぞ知っておいてください。