昨日のブログでは憎しみのワークの途中までお伝えしていきましたが、今日は赦しというテーマも含めて、憎しみの解放プロセスについてご説明したいと思います。
よく怒りや憎しみなどを抱いていると、「相手を赦しましょう」などと言われることがあると思います。様々なセラピーワークでも赦しの重要性が説かれていますが、これは注意深くやらないと、抑圧になってしまうのが難しいところです。
確かに本当の赦しが起これば憎しみも怒りも融けて消えるでしょう。けれど、赦しありきでワークを進めようとすると、大抵は上手くいかないだろうと思います。
本当は怒っている、憎んでいるのに、「赦すのが良いことなのだ、憎しみを抱く自分から解放される、全てが良くなっていくのだから」と頭で言い聞かせて納得させ、本当の気持ちは押さえこんで表面だけ赦している形を取り繕おうとしてしまうのです。
当然、こんな形ばかりの赦しに解放や癒しの力があるはずもなく、本心を抑圧したことで苦しみを大きくするばかりでしょう。
私がお伝えしている感情解放のワークでは、「赦しましょう」という誘導は一切しません。それはやろうと思ってするものではなく、「自ずから起こるもの」だと思うからです。
それが起こるように状態を整えていくのがワークのプロセスであり、そこさえきちんと整えば、赦しは自然に起こります。赦そうと歯を食いしばって努力しなくても、心の奥に突き刺さっていた苦しみの杭がす~っと消え、相手の顔を見たときに、もう恨みも怒りも憎しみも、何もなくなっていることに気づくのです。
この状態になるから赦せるのであって、心にわだかまりが残っている状態でそれをしても、必ず収めきれない感情のエネルギーが浮上して来るでしょう。
よく、ひどいことをされた相手に「あいつも同じ目に遭わせてやりたい!」と思うことがあると思います。なぜそう思うのかと言えば、「私の味わった苦しみを思い知れ!」ということなのです。
なぜそうしなければ気が済まないのかと言えば、相手に自分のやったことがどういうことなのかを理解させたいわけです。
自分のやったことを本当に理解しなければ、また同じことを繰り返すでしょうし、たとえ謝罪があったとしても、その謝罪は自分が助かりたいからという自己本位なものでしかないでしょう。ここが、赦しのカギになる部分です。
自分が罪を犯したことが苦しくてならない。だから被害者に赦してほしい。そうすればこの苦しみから逃れられるから、ということですね。
どこまでいっても「自分のための謝罪」でしかなく、そんなものを差し出されて赦すことなど到底できないでしょう。
感情のエネルギーから見れば、これは自分で受け止めきれない痛みの感情を、相手に押し付けていることになります。自分がひどい目に遭わせた被害者に、さらに痛みを押し付けている行為なのです。
本当に憎しみのストーリーに和解をもたらすには、被害者、加害者双方が自身の痛みに責任を取ることが必須です。以上を踏まえた上で、昨日のワークの続きについて書いています。
ここからは「意識の移動」というテクニックを使います。やや中級者向けのテクニックですが、初心者の方もとりあえずやってみよう!というくらいの気持ちでトライしてみてください。初めてでもわりとできてしまうことも結構あります。
まず、自身の内に浮上している憎しみを身体で感じ、そこに命の呼吸を送ってあげます。さらにイメージの中に相手を呼んできて、相手に対して飲み込んでいる言葉を吐き出すということをやります。
憎しみのエネルギーが少し弛んだな、と思ったあたりで、相手がどんな表情をしているかを確認します。相手は戸惑っているようでしょうか。すまなさそうにしているでしょうか。あるいは、全くこちらの言葉を受け付けない様子でしょうか。
いずれにせよ、相手の表情によって浮上した感情も命の呼吸とともにある程度受け止めたら、今度は相手の意識の中に、自分の意識を移動させてみます。そして相手の視点から、今のみ込んだ言葉を吐き出した自分が見えるかどうかを確認します。
うまくいけば、長年飲み込んでいた言葉を吐き出した自分の姿が、相手の視点から見えるでしょう。これができたら、相手の意識に入ったまま、相手がどんな気持ちになっているか、体感覚などを感じます。
動揺していたり、罪悪感に駆られていたり、逃げていてまったくシャットアウトしてしまっているなど、相手の心理状態や身体の感覚が良く分かると思います。
そうしたら、相手の身体の中に入ったまま、相手の感情を身体で捉え、自分の時と同じように命の呼吸を送りながら受け止めていきます。
逃げているのは、自分の中に浮上している感情を受け止められないので逃げているわけです。もし逃げずにいたとしたら、どんな気持ちになるかと問うてみたときに湧き上がってくるのが、逃げている核心の感情になります。
到底自分で背負いきれない、そんなものを背負ってしまったら自分が潰れてしまう!と信じているので、潰れないように逃げるわけです。が、自分が潰れてしまう恐怖やしんどさなども、身体でしっかりと感じ、命の呼吸とともに受け止めていきます。
これができると、その人は自分の感情の責任を取れた状態であなたに向き合うことができるでしょう。逆に言えば、これができない内はどうやってもあなたとまともに向き合うことは無いわけです。
今、あなたは相手の意識の中に入って相手の中に浮上している感情を受け止めたという形になっていますが、実はこの感情は、あなた自身のものであり、相手のその逃げている態度はあなた自身のことなのです。
中には、相手の感情を受け止めているときに、「あ、これって私だ」と気づく方もあります。
ここまでを第2ステップとしてみましょう。
できる方はぜひチャレンジしてみてください。とてもとても深い気づきがあると思います。この続きはまた明日、お伝えします。