被害者と加害者の旅を卒業する

人間の心は複雑で、
頭ではそんなこと望んでもいない
と思っていても、実は心の深いところで
そうなることを望んでいる
ということがしばしばあります。

被害者になんてなりたいはずはないのに、
加害者でいるよりも被害者の方がマシ
だと思っていたり、

被害者で居ることで、
加害者を責める「正当な権利」を
得られるというメリットを
握りしめている人もいます。

非常に被害者意識が強い人の中には、
「当たり屋」みたいなケースもあって、
「被害者になりにいく」ことによって、

「加害者」となってしまった人を
責め立て、自責の念などのエネルギーを
むしり取っていくようなパターンも
あったりします。

そういう人は、自分にも非があるかも、
とわが身を顧みる視点は一切
持ち合わせていません。

ひたすら自分の正当性を主張し、
いかに自分が傷つけられたかに終始して、
相手に自分の痛みをわからせたい、
知るべきだというストーリーに
自らを固定しています。

そうすることによって、
自分自身の非を見なくて済むし、
自分の感情の責任を相手に押し付け、
自分で責任を取らずに済むわけです。

こう書き出すとなんとも
ひどい在り様に思えますが、
相手を責め立ててしまうとき、
私たちは、多かれ少なかれ、
そんな状態になっていると言えます。

私のお伝えしている感情解放のワークでは、
たとえその感情のきっかけが
相手の言動にあったとしても、

自身の内に湧き出している感情の責任は、
自分で引き受ける、という原則が
あります。

けれども、相手に責任が全く無いか
というとそうではなく、
社会的、道義的、法的責任は別で、
相手にも引き受けるべき責任が
ある場合もあります。

あなたのせいで私はこんな目に遭った
と思う時、その悔しさや怒り、悲しみ、
喪失感、無力感などの感情を
自分で引き受けるというのは、
なかなかにきついことだろうと思います。

それでも、
それを相手に押し付けている限りは、
あなたは無力な被害者で在り続け、
自分の幸せは相手の態度次第
になってしまうのです。

ある意味、
あなたは自分を幸せにする力を相手に、
あなた自身を不幸にする力にして
捧げてしまっているようなものです。

それを止めるには、
自分で自身の感情の責任を
引き受けるしかありません。

そしてまた、
あなたのその感情を浮上させた種を
注意深く掘り下げて、
その出来事の起こった意味を
深く知ることです。

そこに、あなたの魂の旅路で
起こったことの秘密が隠されています。

被害者と加害者は表裏一体のもので、
どちらが居なくても成り立ちません。

そして、私たちの魂は、
その出来事に焼き付いた感情によって、
その二つの立場を行ったり来たりしながら
旅をしています。

もうこの不毛なテーマの旅を
終わらせたければ、
その焼き付いた感情を
誰のせいにもしないで
統合してあげることが大切です。

ワークでは、
被害者としての感情と
加害者としての感情の両方に触れ、
統合していきますが、

その両方に生々しく触れ、
受け止めて行く時、
あなたはそのどちらの感情、立場も
まさに自分自身のものであった
ということを理屈を越えて知るでしょう。

この気づきがやってきたとき、
あなたはその被害を卒業できます。

大抵は、どこかで
相手を責める気持ち、自身の正当性に
しがみつく思いや相手への嫌悪感から
加害者の視点に入りきれないことが
多いのですが、

ぴったりと加害者の視点、思考、
感情に触れられると、
気づきが一気にスパークして、
あれ程晴れることのなかった
怒りや憎しみも、瞬時に消えていきます。

後には何のわだかまりもなく、
ただ心は晴れやかで、
感謝と愛しかないでしょう。

人生は、時に過酷なまでの
試練を私たちに課しますが、
そうでもしなければ気づけない、
逃げ続けてしまう私たちを
否応なく次のステージに進ませるための
愛なのです。

これを愛と言えるのか、
とその渦中にいる時はとても
理解できないことだと思いますが、

逆に言えば、そんな出来事すらも
愛に昇華できたとき、
魂は大きく次元シフトするのでしょう。

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