感じることと考えること。
これらは全く別のことなのに、
実際多くの人がこれらを混同して、
感じているつもりが実は
考えていることがあります。
セッションでも、たくさんの質問を
投げかけていくのですが、
できる限り考えていることではなく、
感じたところから答えてくださいね、
とお願いしています。
けれども、ご本人も気を付けている
と思うのですが、やはり考えていること
で答えられることが多いです。
逆に、感じていることを
考えていることと取り違えることは
ずっと少ない、というかほぼないですね。
それほどまでに、私たちは常日頃から、
感じることを考えることで代用している
ということなのだと思います。
それの何が問題なのかと思う方も
あるかもしれませんが、これは重大な
分離の表われの一つでもあるのです。
たとえば今、レストランで
自分の食べているお料理がおいしくない、
とてもまずいと感じていたとします。
そのレストランがどれだけ有名店で
多くの著名人が絶賛していようと、
自分がそのように感じるというのは
紛れもない事実です。
けれど、ひとたびそんな自分の
感じ方に疑いを持って、
これをまずいと感じる自分が
おかしいのかもしれない、
これだけ著名な人たちが絶賛している
のだから、これがおいしい料理
なのかもしれない、と思い始めたら、
もうそれは感じていることではなく、
マインドの思考で考えていること
になります。
そして、明らかにそれは、
自分の真実からかけ離れています。
このように、マインドは
いくらでも事実をすり替え、嘘をついて
原形をとどめないほどに捻じ曲げることも
できます。
そうなると、
感情解放のワークにおいては、
掘り下げるにしても感情のエネルギーを
統合していくにせよ、ありもしない
虚構と格闘しているような状態
になってしまい、深い迷路に
迷い込んでしまいます。
この状態のエネルギーを見ると、
どこか地に足がついておらず、
確たる基盤もないところで
フワフワと意識が彷徨い、まるで
夢を見ているかのように見えます。
一方で、もしこれが感じていることの
ベースで掘り下げ、統合プロセスを
進めることができたなら、
マインドベースでやっている時よりも
しっかりと感情のエネルギーの
感触を捉えたところから統合が起こり、
変容のプロセスを通っているのが
読み取れるのです。
起こっていることは、
まるで違うということなんですね。
マインドでやってしまうと、
よくあるのが、頭が納得できる
理屈で丸め込んで、収めてしまう
というパターンです。
どれだけ理屈で整理して
納得したように思えても、
感情は理屈では収まらないので、
統合には至りません。
必ず収まらなかった感情のエネルギーが
再びどこかで噴出して、振り出しに
戻るでしょう。
常に理屈で収める癖のある人は、
自分でそうやって本当の気持ちに
蓋をしていることに、一人では
なかなか気付けません。
そうやって蓋をしてバランスしている
状態を、心地良く感じて自分は
うまく行っている、と
思っていたりもします。
けれど、蓋の奥には膨大な
未完了の感情が残っているんですね。
自分が本当のところ
何を感じているのか、
ここを疎かにしている人は、
自分自身と対話できていません。
理屈で自分の感情を歪め、
予定調和に収めている人の現実には、
理屈で事実などを捻じ曲げて
予定調和に無理やりねじ込もうとする
人が現れるでしょう。
感情解放ワークの実践者は、
よくよく心されますように。