自分は不完全であるという観念の呪縛

私たちは、不完全性の呪縛
とも言うべきものに囚われているな、
と思うことがあります。

どこか自分は不完全な存在で、
どこかが欠けているような感覚。

このままの自分で居てはいけない、
もっと良くならなければ、
何かが出来るようにならなければ、
もっと別の自分にならなければ、

ここに居てはいけない感じがする、
愛されないに違いない、

受け入れてもらえない、
置いて行かれる、という

強迫観念にも近いような
恐れに駆り立てられて、
もがき続けているように思います。

そうして、少しでも
「完全な自分」に近づけるように、
際限のない試行錯誤を続け、

ときにそれが叶ったように思えても、
またすぐにあの不完全な自分が
復活してきて、

まだ完全じゃない、まだまだだと
追い立てるのです。

そんなことを繰り返して、
どれだけ努力しても、
完全な自分になって満たされた、
安心安全を得られないストレスに、
多かれ少なかれ絶望し、

人生なんて、そんなものなんだよ、と
古今東西の先人たちの人生訓を引いてきて
自分を納得させるのです。

どうして私たちは、
生まれながらにして完全ではない
のでしょうか?

それとも、
完全な存在として生まれてきて、
どこかの段階で、不完全に
なっていったのでしょうか?

多分、後者なのではないかと
私は思います。

そもそも、在るということ自体に
不完全さも欠乏もないわけで、

そこに様々な観念、因果の結び付け
があって、完全であるということに
条件が付くようになります。

すなわち、
美しいかそうでないのか、
優秀かそうでないのか、
持っているのかいないのか、
できるのかできないのか、などなど。

それらの条件が満たされていないものは
不完全であり、価値がない、あるいは
劣っていると認定されるのです。

こうして完全な存在として
生まれてきた私たちは、
不完全な存在であり、どうにかして
少しでも完全な自分に近づかないと、
劣等な存在として、社会的にも
不遇な人生を送ることになるのです。

そういうことを、何十年どころか、
何世代も繰り返してきた社会に
どっぷりと浸かって生きてくれば、

否応なく、骨の髄まで、
不完全さの感覚は刻み込まれます。

それは繰り返しそれを証明する
出来事を通して、強化され続けて
いるでしょう。

不幸なのは、自分の力では
どうしようもない要因によって、
逃れようもなく不完全性を刻印される
人生もあるという事実です。

たとえば、
女性であること、
出自、家柄の問題、
身体的、精神的なハンデなど、

強靭な精神力でこうしたものすら
はね返し、自身の存在価値を知らしめた
偉人のような人たちは別として、

自分ではどうしようもない
外側の問題で不完全性を刻印された
人の苦しみは、筆舌に尽くし難い
ものがあります。

しばしばそうしたものが
世代間を連鎖していく様を
みかけるのですが、

その苦しみは、子や孫の人生を
ものすごく歪めていきます。

本来ただ在るがままの
完全な存在に被せられた思念の
枠組みは、何と強力なのだろう
とつくづく思います。

その呪縛を解くには、
その観念の非実在性を看破し、
自身の完全性をしかと認識することです。

そうは言っても、
不当な抑圧は厳然とある中で
それをするのは至難の業
とも言えますが、

古来、お釈迦様が解いてきた
教えの中にあるのは、
そういうことなんじゃないか
と思います。

そして、しばしば覚者が
思考のない今この瞬間を強調するのは、
観念の呪縛の外に出る、唯一の方法
だからでしょう。

拭い難く感じている自身の不完全性を、
自分は完全だという別の観念を
上から被せることによって
完全性に至るのではなく、

そもそも、その不完全性自体が
偽りの枠組みなのだから、
その外に出てしまえばいい。
というわけです。

不完全性にもがき、それと戦うのではなく、
今ここで、思考のない状態に
寛ぎましょう。

その時私たちは、
紛れもなく完全な存在なのです。

そもそも、不完全だったことなど
一度もなかったのです。

生まれたばかりの赤子に
不完全性を見るのは、
観念にまみれた世界に生きる者だけです。

当の赤子は、不完全だという概念すら
ないでしょう。

思考を止め、概念の外に出るだけで、
私たちはそのまっさらな赤子の意識に
戻ることが出来ます。

いつでも開いた扉がそこにある、
というのは、実に救いですね。

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