スケープゴート

感情解放ワークで自分自身に向き合っていると、しばしば被害者と加害者、責任の逃避と転嫁というテーマを見かけます。人生のあらゆる停滞と困難は、恐らくこのテーマと無関係ということはあり得ないだろうと思うほどに、ポピュラーなテーマです。

私たちは自分が関係ないところであれば、被害者も加害者もない方がいいとか思うのですが、いざ自分がその立場になってみると、途端にそのニュートラルで当たり前の見え方は失われ、苦しみに満ちたストーリーの中での役割にしっかりとしがみついてしまうのです。

苦しいのにしがみつく?と不思議に思われるかもしれませんが、深いレベルを読み解いていくと、被害者はある部分で加害者を必要とし、加害者は被害者を必要としているという、摩訶不思議な心理構造があるのです。

これは、表層意識では自覚は無いことが多いので、そう言われても気づかない方もあるでしょう。けれど両者はどちらも片方だけれは成り立たず、表裏の関係であることは確かです。

どちらも、本来自分で責任を取らなければいけない不快な感情や感覚の責任を、どうにか他者に転嫁して、自分が楽でありたい、というところで引き合っているのです。

そして、そうすることの後ろめたさから逃れるために、自分や周囲を納得させるための「正当な理由」を求めます。

実際のところ、そんなものは何の役にも立たないのですが、それがあると何となく自分のズルさが隠れるような気になるので、せっせとより強力な「正当性」をコレクションし、水戸光圀公の印籠のごとく、自分がまずい立場になった時にど~んと打ち出してきます。

周囲の人は、いくらそんなものがあろうとも、その人のずるい本質は筒抜けでしょう。バレていないと思うのは当事者だけで、この滑稽な喜劇の中で踊っているのです。

この辛さは自分のせいじゃない!と思うことで、一時、その辛さから逃れることができるように感じます。だから、誰かや何かのせいにできるように、私たちは「スケープゴート」が必要なのです。

スケープゴートの説明はこちら

自分がこんなに不幸なのは親のせいだ!パートナーが私のことを顧みてくれないからだ!学歴が無いせいだ!自分の身長が低いせいだ!あの時あの人がこんなことをしたから!だから私は今こんな思いをしている!

ありとあらゆるものがスケープゴートになり得ます。時にその対象が自分自身であることもあるので、なかなかわかりにくく複雑になっていることもあります。

けれど、「~のせいで」と思ったときは、間違いなく自分の受け止め難い気持ちの責任を、それに転嫁しています。

そのことを認めることができるかどうかが、この「苦しくも居心地のいい地獄」から脱出できるかどうかの分かれ目になります。

脱出したいのなら、今の居心地の良さを手放さなければなりません。つまり、誰かや何かに転嫁していた苦しみを、転嫁しないで自分で受け止めるということです。

この在り方が定着すると、転嫁している方がずっと居心地が悪く、とても居られなくなってしまうので、自然に自分で責任を取る在り方を選ぶようになっていくのですが、長く慣れ親しんだ「転嫁による逃避」の構造を改めるには、最初はかなり葛藤があるでしょう。

苦しい状況について、誰のせいにもできないし、どんなものも責められないという場面をイメージしてみてください。のしかかるような重苦しさや閉塞感、耐え難い不快感が一気にやってこないでしょうか。

それこそが転嫁によって逃れていた、本来自分が受け止めるべきエネルギーなのです。

誰かに責任転嫁をされるととても不快に感じるのは、これらが押し付けられていることを確かに心と体で感じるからです。

私のせいじゃないのに私のせいにされた!という経験をするとき、同じ構図のことを自分自身もどこかで必ずやっています。

だから、腹が立った時が気付きのチャンスと思って、自分が何をしているのか、よくよく相手という鏡を覗いてみてください。見る目、聞く耳を持って取り組めば、必ず気づきはやってきます。

ズルく醜い自分に直面することは、とても勇気のいることだと思います。

誰だって清く正しく美しい自分であってほしいものですから、それとは正反対の姿なんて、見たくはないのです。

責任転嫁をしているということは、自分も実は加害者であることを認めることになります。

人は、被害者の痛みを受け止めるよりも、加害者としての痛みを受け止める方が実は難しい傾向があるようで、「私はこんなことをコイツにされたんだ!」と嘆くことはほとんどの人は簡単にできますが、「私はこんなことを相手にしてしまった!」という動揺や罪悪感などを受け止めるのは、それほど簡単ではありません。

けれど、このことがしかとできる在り方が確立されて行くと、あなたは被害者と加害者の二元性を超えて、その葛藤を味わうことがなくなっていきます。

被害者と加害者しかいなかった世界が、もっと違うものになって見えてくるのです。

チャレンジしがいのあるテーマではありませんか?

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