本質を求める感性

正解だけを欲しがる人は、
本質を見る視点が無い。

しばしばそんな風に感じる
場面があります。

間違ってはいけない。
間違えたくない。
道を踏み外してはいけない。

そう強く思う気持ちもわかります。

けれど、
間違えないことにばかり
心を砕くあまり、
自分がどこに向かっているのか、
何をしようとしているのかを
見失うのでは、本末転倒です。

ある種のマニュアルは、
それ以外のことは一切やらなくていい、
というか、やって欲しくないという
趣旨で作られているものも
あるのかもしれませんが、

教えやお作法、型といったものは、
本質に至るための補助的なガイドラインの
ツールであり、それ自体が本質ではない、
と私は理解しています。

全くの土台が無い状態で、
そうしたものを深く修養することで、
おおよその自分の方向性が定まり、
その道を深めていく下地ができます。

ある程度、それらが自分の身に
染みついていくと、傍から見ても、
そこそこ、それらしく見えてきますものね。

そうしてそこからさらに、
それが指し示しているエッセンスに
自分で深く意識を向けて、
探究していくわけです。

これ故に、
型や教えは大切なものですが、
それ自体を崇め奉るのは、
ちょっと違うのかな、と思います。

全くの枠組みだけにしか意識及ばず、
それが指し示しているものを
見ないのであれば、そこに
魂が宿りません。

型や教えから
その道のエッセンスに触れたければ、
先人が残したこのガイドラインに
込められた意図を読み解かねば
なりません。

長い年月の研鑽に耐え抜いた型には、
それがそのように在る必然の核
だけが残っているでしょう。

あるいは、意図的に組み込まれた
不調和の痕跡が記されている
かもしれません。

それは、必然を読み抜いた者なら
わかるはずだろう。
という、先人からのメッセージ
なんですね。

型からエッセンスを読み取るには、
そういう感性が必要ですよね。

その型を編んできた先人たちとの
時空を越えた対話です。

わかる人には、わかる。

それがわかる段階にまで
達した人にだけできる対話。

そういう対話が出来るように、
型を何万回、何十万回と
修練するんですね。

ただ漫然と
表面をなぞっているだけでは
ダメです。

禅に、「指月のたとえ」という
お話があります。

大智度論に、
人の指を以て月を示すに、
惑者は指を視て月を視ざるが如し
とありますが、

あそこに月が出ているよ!
と指をさして月を教えても、
愚かな人は、指を見て月を見ない
というたとえ話です。

何のために教えを学んでいるのか、
その教えや型を作った人は、
あなたがその教義の学徒になるように
それを編んだのでしょうか。

そのことを深く省みることで、
学ぶ姿勢について、
気づくことがあるはずです。

指し示されているものを見ようとし、
対話をする感性が無い段階で、
守破離の破だとか離とかに
進んでしまうと、
ロクなことがありません。

迷いが生じたのなら、
いつでも守に戻って、
型の中から徹底的に深く
対話をすると良いときも
あるでしょう。

一度離れても、
戻ってみたときに、改めて発見する
宝がありますからね。

グダグダに見えて、
以前の自分では既になく、
それなりに成長しているものですから。

行きつ戻りつ、試行錯誤しながら
重ねた対話が、あなたの道を
深く、豊かに、育てていきます。

正解だけを欲しがる人には、
その豊かさは、わからないでしょうし、
触れられもしないでしょう。

地に足を着けて、
時に苦悩しながら刻んだ一歩が、
どれほど豊かで味わい深いものか、
わかる人であるように。

この豊かさ故に、
ときにボロきれの様になりながら
見出した宝を掴んだその歩みが、
尊いのです。

傍から見たら、
ボロボロで無様に見えるかもしれない
その人の中に、その豊かさが
あるのかどうか。

表面的なかたちを越えて、
本質を求め、触れて行くように。

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