正しさの陰で零れ落ちるものへの眼差し

誰しも、自分が正しいと思って
生きているところがあると思います。

どれだけ傍から見て間違っている
と見えるようなことでも、
本人の立場に立ってみたら、
その人なりに言い分があったりします。

誰も自分が間違ったことをしている
と思いながらそうしたくは
ないでしょう。

中には、わかっていながら
やる人もいるでしょうが、
それにもその人なりの考えが
あってのことかもしれません。

いずれにせよ、
誰かと意見がぶつかる時に、
その「正しさ」故にこじれることが
あります。

意見がぶつかっても、
最終的に互いが目指すところが一致
しているのなら、話し合いの余地も
あるのでしょうが、

こと、そこに「正しさへの意地」が
絡むと、ややこしいことになりますね。

自分の正しさから降りるというのは、
結構大きな精神的な負荷がかかることです。

理屈ではどう考えてもこちらが正しい
と思っても、感情はしばしば道理を曲げて
筋よりも意地の方を通そうと
頑張ってしまいがちです。

自分の意見を譲ることは敗北や屈辱
と感じてしまうこともあるし、
信じていた世界の崩壊と感じることも
あります。

だからおいそれとは譲れない。
勝利しなければ自分の守ってきた世界が
崩壊してしまうという危機感が
その意固地さを絶望的なまでに
強固にしてしまうのです。

傍から見たら、
なんでそんなに意地を張ってるの?
と思えるようなことでも、
当人にとっては「そんなこと」
ではないのです。

信念は時に人を支え、立派にもするけれど、
手に負えない厄介者にすることも
ありますね。

けれど、
もし自分が後者になってしまっているのなら、
絶対に崩壊させたくないその正しさの信念を
降りる必要があるでしょう。

人生は、時にそういう価値観を崩壊させる
出来事をよこしてくることもありますね。

そんなことが起こってしまった人は、
なんでこんなことが自分に起こるのか?
と嘆くかもしれませんが、

それは遅かれ早かれ、
起こる必要のあることであり、
それによって改めるべき何かしらの
世界観があるということなのでしょう。

そしてそこから、
自分が新たに生きる世界を再構築
していかねばなりません。

崩壊して、打ちひしがれて終わり、
ではなく、それを糧にして、
自分の人生に統合していかなければ
いけないのです。

打ちひしがれている内は、
まだかつての正しさを抱え込んで
いるでしょう。

それを手離して、事実に直面
しなければなりません。

自分が何を見ていなかったのか、
何を疎かにしていたのか、

それがわかったとき、
かつてしがみついていた
正しさの意味が変わり、
自分のやっていたことへの認識が
変わります。

その変化を、起こさなければ
いけないのです。

正しさというのは、
時に無敵の印籠のように感じられる
ものですが、その一方で、
それゆえに切り捨てられるものが
あったりします。

切り捨ててはいけないとか
そういうことではなく、
正しさから零れ落ちたものがある、
ということへの認識、眼差しを
忘れてはならないと思うのです。

そうしたものへの眼差しが忘れられた時に、
恨みが生じます。

それを軽く見ないことです。

ものごとは一面的ではなく、
様々な見方、要素があって
その時々に取るべき道があるでしょう。

みな、紙一重なのです。

それをいかに収め、
それぞれの生き筋を見つけていくか。

目先で勝利しても、
零れ落ちたものへの眼差しを忘れた者は、
長くは栄えません。

相手の痛みを深く知って、
礼を尽くすことです。

組織でも個人でも、
それができる人が良き風土を
育てるでしょう。

自分の中で、
どれだけそれができる
器が育っているかな?と、
正しさを主張したくなった時は、
振り返ってみると良いかもしれません。

 

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