快楽に没入しに行く意識

たま~に感情解放のセッションを
誘導していて、自分の感じている感覚に
没入するように「飲み込まれに行く」人が
いるのですが、これについて
思うところを書いてみたいと思います。

まず前提として、
私がお伝えしている感情解放ワークでは、
体のどこかに感情のエネルギー
(気持ちのカケラ君)の反応を捉えて、
そこに命の呼吸を送っていく
という動作を基本としています。

このとき、自分の意識(主体)で
しっかりとカケラ君(対象)を
捉えている意識のポジションにいる
ことが案外重要なんですね。

「主体」がお迎えに行く「自分」で、
「対象」がお迎えを待っている「カケラ君」
なわけです。

ところが、
自分の感じている感覚に
飲み込まれてしまう人は、
お迎えに行くはずの「自分」という主体が
対象の「カケラ君」と一体化するというか、
いつの間にかすり替わって
主体が不在になってしまうんですね。

たとえば、
悲しみのカケラ君をお迎えに
行っているはずなのに、
途中から悲しみに没入してしまって、
お迎えに行く人が居なくなってしまう
という状態になるわけです。

こうなると、ワークは成立しません。

私のお伝えするワークではなく、
以前に他でインナーチャイルドワークを
やってたけれど、どれだけやっても
繰り返してしまうという方が
いらっしゃったのですが、

多分その方は、
自分の感情に没入していたので、
統合に至らなかったのではないかな、
と思います。

メロドラマなんかを見て
涙を流してすっきりするみたいなのが
目的ならそれもある意味ストレス発散
になるので悪いわけではないですが、

未完了の感情を統合するという意味では、
没入しているだけでは完了はしません。

感情解放ワークのとき以外にも、
たとえば瞑想をしていて
その時感じる多幸感に没入しに行く
人もいるし、

セックスやその他日常的な心地良い感覚に
浸り、没入していく人もいますね。

決して、それ自体が悪いわけではないのですが、
没入するという在り方は、自分をその対象に
溶け込ませるようにして「自身を失う状態」
でもあるので、

そういう感覚を常習的に求めてしまう
在り方については、傍から見ていると
ちょっと危なっかしいな、という気はします。

そこに、「この自分からの逃避」の動機が
ないかどうか、注意深く見ていくことは
肝要かと思います。

もしあるのだとしたら、
これはかなり危険な種になるでしょう。

瞑想も、
この多幸感に「没入しにいく」やり方は、
本当に意識が深まっていく先に現れる
意識の状態とは違った魔境なんじゃないかとも
私には思えてしまうのですが、

あまり瞑想とかに詳しくはないので、
この辺りは素人の勝手な推測です。

いずれにせよ、ある状態に
没入しに行く(飲み込まれに行く)ことを
求める傾向のある方は、ある意味、
それに中毒しているので、
その魅惑に抗うことは
とても難しいだろうと思います。

それに没入するためなら、
自分にとって本当は大事なものの
優先順位を、容易くひっくり返してしまう
衝動を抑えることが出来ないからです。

この段階で既に
欲望の方が大きく優った状態になっていて、
主体を失っているので歯止めが利かず、
容易く振り回される状態になっています。

けれども、当人の認識では、
ここまでになっている自覚は
ないかもしれませんね。

だから余計に危ういのです。

この衝動が、いつどこで
ふいに自分を飲み込むのかに
無意識だから。

そうした衝動を収めるには、
没入によって自分が得ているものは何か、
味わわなくても良くなるものは何か、
それを得られなかったら
どんな気持ちになるかを問うてみて、

自分が逃げているものを
肚を括ってしっかり引き受けることです。

それができない限りは、
逃げているものを忘れさせてくれる
体験への執着は消えません。

自分自身が本当に深まっていくことと
没入しに行く(飲み込まれに行く)体験は
全く別のものであるということが
識別できるようでありましょう。

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