自分が何かしら人を教え、
導くような立場になったとき、
それが人間性の深いレベルに関わる
ことであればあるほど、
恐れや躊躇を感じることが
あると思います。
私自身、ヒーラーという仕事で
人様にアドバイスやメッセージを
お伝えすることをしていて、
最初の頃は、恐れを感じることが
しばしばありました。
すがるように、
私の言葉を自分で検証もせずに
鵜呑みにする人とか、
自分で判断することをしないで
何でもかんでも私に判断させよう
とする人とか、
そういうことを当たり前のように求め、
依存してくる人がこんなにも多い
ということに驚きもしたし、
うんざりしつつも、そういう人たちに
いかに対応したら良いのか、
試行錯誤し続けた年月でもありました。
どうしたら健全な関係性を築きながら、
本当にその人たちを依存させないで
真の力に繋げて差し上げられるのか、
そのためには自分がどういう在り方を
したら良いのか、問い続けてきました。
こういう業界では、ビジネス的には
依存させていた方が儲かって良いと
考える人も、いないわけではありません。
けれど、そういうことをしていると、
私自身が苦しくなってきて耐えられないし、
自分の仕事に誇りが持てなくなって、
やがてはこの仕事が出来なくなって
しまうでしょう。
何より、大切なクライアントさんを
そのような醜い姿にするために
仕事をしているわけではないですしね。
境界線を引くことが大事だとは
知っていましたが、細心の注意を払って
引いているつもりでも、
私の心の隙を突いて、
結果的に、手を出してはいけないところに
出させられる、と感じるようなことも
幾度もありました。
そのたびに、自分の何がそういう状態に
駆り立てるのか、自分でも気づいていなかった
深いところの恐れを見つけ、統合する、
ということを繰り返してきました。
そういうことをある程度積み重ねてきて、
今はやっと、依存というもののパターンが
理解できて、実際に対処できるようにも
なってきたところです。
こういうことは、実地で自分で体験して
自分にどんな恐れがあるのか知り、
一つ一つ対処して行くことでしか、
適切に境界線を引いて、本当にその人を
自分の力で立つように導くことは
できないのです。
良い人だと思われたい、
嫌われたくないと思っていたら、
本当に必要なことを
言えなくなってしまうし、
絶対に侵入させてはいけない領域に
侵入しようとしてきたときに、
断固たる態度を取ることもできません。
相手をひどく傷つけてしまって
何かあったら、と恐れていたら、
そういう心の隙を突いて、
エネルギーを貪られることもあります。
どこまで見守り、
どこで助けたらいいのかを見極めるのも、
相手の微妙な依存心を深く見ながら、
自身の揺らぐ心を受け止めつつ、
ハートの導きとともに
躊躇なく行動していく覚悟も必要です。
そういう時の判断は、
マインドからはできません。
つまり、
常識や道徳といったレベルからは
判断できないんですね。
多くの人は、そういうレベルから考えて
自分も世間も納得できるような
理由を裏付けとして、自分の言動の正しさを
証明しようとするので迷いが生じる
のでしょうが、
私の場合は、
相手と自分の取るべき責任領域を
明確に捉え、切り分けたところから
筋を通すという見方をしています。
自分の責任領域に対しては
妥協なくすべて負う。そこからは
逃げない、とコミットメントします。
それが実践できると、
相手がどういう責任を負うべきなのかが
ハッキリ見えてきて、その部分に対して、
どういう働きかけをしていけばいいのかが
わかります。
つまり、引くべき境界線が見えて、
相手がなぜ依存してくるのか、
なぜ依存せずにはいられないのか、
その原因が直感的にわかるんですね。
そこがきちんとクリアできれば、
その人は依存せずに、自分の力で
立つことが出来るようになります。
そのようにして、
その人の真の力の在り処が
見えてくるわけです。
あなたが逃げているのはこういうことで、
ここを引き受け統合することで、
あなたの中に眠っている力に
繋がることが出来るよ、と、
確信をもって伝えられるんですね。
それは、
みんな無限の力を持ってるよね～
という漠然とした概念の話ではありません。
いずれにせよ、
本気で人と向き合っていくということは、
自分の中のあらゆる逃避傾向を見破り、
修正していくこととともにある
という話でした。