相手のその反応を引き出す種

現実の様々な問題と見えるものに対処
していくときに、感情解放ワークの世界観を
ベースに見るのと、多くの方が現実を捉える
見方は、恐らくかなり違っていると思います。

ワークの世界観がない方は、多分
人間関係でもあの人とうまくやっていくには
どんな風に接したらいいだろうかとか、

きっとこの人はこんな風に言ってくるだろうから
こうしようとか、意識はほぼ外側の誰かや何か
に向いていて、それに対してどうするか
という視点で反応していると思います。

一方ワークの視点だと、
自分の内で起こっていることに意識を向けて
それに適切に対処していくことが
基本になります。

自分がそれをどう感じるのか、
感じたものをどう統合し、応答していくのか
という風に、自分の主体意識が起点になります。

だから、毎瞬自分の内で起こっていることに
気付き続けていくことが前提となります。

全ての瞬間に気づいていられなくても、
辛い気持ちや感覚が浮上したときに
それと気づいて注意深く対処していくだけで
随分と現実の感じ方は変わっていきます。

たとえば、
いつも自分にきつく当たってくる
上司がいたとします。

多くの人は、こういう上司に対して
いかにこの人を怒らせないように、
ケチをつけられないように立ち居振舞うか
という風に対処しようとするのでは
ないでしょうか。

けれど、ワークでは、
そういう上司を前にしたときに浮上する
自分の気持ちを受け止めることに
フォーカスしていきます。

そういう人であれば、何も言われてなくても
顔を見ただけで緊張したりして何かしら
ストレスを感じているものです。

普段はそういうストレスを生々しく
感じ続けていたらとても一日仕事ができないので
感覚を閉ざして鈍くしていたり、

相手を自分からバッサリ切り離して
別世界に置くことで自分を守っていたり
するのではないでしょうか。

けれども、感情解放ワークでは
閉ざしていた感覚を取り戻して
本来感じていた緊張や恐れ、様々な
心の痛みをしっかり受け止め、
統合していきます。

完全に統合できれば、
感覚を開いたままでも上司への感じ方は
以前のようにストレスフルなものではなく、
もっと楽にしていられるでしょう。

その状況や人への感じ方というのは、
その人自身の内に元からある様々な心の古傷や
ポジティブな記憶からのフィルターを
通したものになっています。

だから、同じものを見ても
人それぞれ感じ方が違うのですね。

そして、そのフィルターを通して反応した
自分から放たれたものが、相手の様々な要素の
引き出しを引くのです。

これ故に、
ある意味、相手にその反応をさせている、
その言葉や態度を引き出しているのは、
他でもない自分自身なのです。

同じ人でも、接する人によって
怒りっぽくなったり親切になったりするのも、
そういう原理が働いているからです。

統合によって自分の内にある
相手のその反応の引き出しを引く要素が
変化すると、もうその引き出しは
引かなくなります。

すると、相手の反応も以前とは
違ったものになっていくでしょう。

相手からしても、以前は訳も分からず
あなたにイライラさせられていたのに、
不思議とイライラしなくなった、
という風に感じられるのです。

よく、相手は変えられないけれど
自分は変えられる、ということが
言われますが、

表面的に自分の接し方を変えるだけでは
相手のその反応を引き出す種はそのままなので
そう変わることはないかもしれません。

けれど、自分の内にある種にこそ
対処できた自分になれば、
現実は本当に大きく変わるのです。

何をやってもどう変えてもダメだった状況が、
奇跡のように変わっていくケースを
たくさん見てきています。

夫婦や親子関係、職場の人間関係も、
テーマにした部分

だけでなく、
その変化の影響はとても広範囲に及びます。

自分の在り方が変わるというのは、
その現実を生み出していた元が変わる
ということなので、それも道理です。

表面的な対処に右往左往するだけでは、
ますます絡み合ってしまいます。

そして、どうにもできない絶望と諦めから、
自分から切り離して分離させ、絶対に
交わることのない、別世界のことなのだ、
と思うしかなくなるのでしょう。

でも、そうやって切り離したものが
大きく、また多いほど、自分のエネルギーは
分断され、縮小していきます。

本来はその領域もすべて自分の力になるはずの
ものなのに、切り離したがゆえにすべて死んで、
使えないものになるからです。

どんなに嫌悪を覚えるものや理解し難い、
触れたくないようなものでも、
それがそのようにして自分の現実にある
ということは、故あることです。

自分がどこまで、分離させてきた領域を
統合し、再び自分の一部として生きることが
できるのか。

それによって、自分の器も育ち、
人生はよりダイナミックに生き生きとした
息吹を取り戻していくでしょう。

決して一朝一夕にはなるようなものではありませんが、
やればやっただけの見返りはあるでしょう。

それは、失われた自分自身を取り戻していく
旅でもあります。

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