底知れぬ愛

ここのところ、セッションなどで自分で自身にかけた封印を解いて、本来のパワフルな自分を取り戻しなさいというメッセージをお伝えすることが多くなっています。もっと聖なる導きを信頼し、もっとコミュニケーションをとるようにと、私たちは促されているようです。


「本来のパワフルな自分」と言われても、こんなに無力でとりえのない自分がパワフルだなんて、とピンと来ない方もあるかもしれません。けれど、そんな自分に安住しないで、その自分でいることで得ているメリットよりもはるかに素晴らしい在り方があるのだから、躊躇なくそれを求めて行きなさい、とメッセージは声を強めています。

あなたはこうした呼びかけを、どう受け取るでしょうか。

「そんなに素晴らしい自分があるのなら、もちろんそうなって行きたい!けれど、今の自分でいることにいったい何のメリットがあるのか、皆目見当もつかない」という方は、「もしパワフルな自分になってしまったら、何か不安なこと、ひっかかることがあるだろうか?」と問うてみるといいでしょう。

メリットなんてあるはずない!と思う方でも、注意深く自身の中に湧き上がる恐れを見ていくと、「私がパワフルになってしまったら、誰かを傷つけてしまう気がする」とか「家族を置き去りにしてしまいそう」とか、「図に乗って大失敗してしまうかも」などなど、何かしらスムーズに心のブレーキを踏めない引っ掛かりがあるはずです。

今のその自分の在り方は、まぎれもなく自分でそう在ることを「決めている」のです。顕在意識的には、その自分が居心地悪く感じていたとしても、それ以上にそのポジションに留まることにメリットがあるから、そうしているんですね。

そのメリットが潜在意識レベルにあって認識されていないのだとしたら、それを顕在意識レベルに上げて明らかにして行くことで、自身の在り方を新たに選択し直すことができます。

パワフルな自分であることに制限をかけているのだとしたら、そこには大抵、パワフルであったが故に味わった痛みの感情が、多かれ少なかれ埋もれています。その痛みを抱え込んで触れないようにしてやり過ごすこともできますが、そうなると今のように自分に制限をかけ続けなければならなくなります。

それは嫌だな、と思うのであれば、痛み自体に対処すれば、制限をかける必要もなくなるので、その後は全く自由になるでしょう。

じわじわと小さな痛みを抱え続けるか、一時、痛みに向き合ってその後はずっと自由でいるのと、どちらを選ぶか。痛みに疲れ果てている方は、ぜひとも後者を選ばれることをお勧めします。

トゲを身体の中に残したまま、完全に癒えていくのは難しいものです。トゲを抜き、膿を除けば、傷は自然に癒えていきます。怪我をした自分を忌み嫌い、責めるのではなく、どうぞ自分に優しく在ってください。

よく、自分のことが嫌いだ、自分に失望しているという方がいらっしゃいます。私自身も、以前は自分のことが大嫌いでした。毎日、こんな自分は死ねばいいとさえ思っていた時期があります。導きも、サポートも何も信じられずに、ただ死んだように息だけをして生きていました。

けれど、そんな自分に必要だったのは、冷たい蔑みではなく、傷ついた自分を無条件に労わる眼差しであったと、今なら分かります。

当時の私にはとてもそんな余裕はなく、ただ時間だけが私をここまで導いてくれましたが、もしできることなら、今この瞬間に、「こんな自分でもここに居ていい。そのままでいのだ」と自分に向かって言ってあげられたとしたら、「すべてが自分を拒絶する冷たい世界」と感じられていたここで、どれほどの安堵があなたを包むでしょうか。

自身の感情に向き合ってきて感じるのは、この世界の底知れぬ愛です。この世界のどこが愛か、と吐き捨てたくなることもあるでしょうが、人間目線の善悪のジャッジメントとを超えて、私たちの最も深存在の中心にダイレクトに届く愛としか言いようのないものが確かにあるのだと、理屈を超えて、分かるのです。

それは、醜悪さの極みの中にも、誰もが歓迎する美や温かさの中にも、変わらずに存在しています。それを知るには、自身の中に在る、目を背けたくなるようなものにも目を向けなければ、気づくことはできないでしょう。

世界にある醜いものをわざわざ探して回ることは無いでしょうが、自分の中に在るものには、等しく目を向けてみる価値はあると思います。

清きもののみ求めて行けば、自分が清くなるのかというと、そうとも言えるし、そうではないとも言えると思います。光を求めるほどに自身の内なる闇は深くなりますし、深い深い闇の淵で信じられないような愛に出会うこともあります。

昔の人は、これ故に中庸を説いたのだろうと思うのですが、一方の極を拒絶すれば、拒絶した極によって私たちの意識は囚われます。

あなたの中に見つかる「醜い」と見えるものを、どうぞ恐れず、拒絶しないでいてください。ただじっとそれを見つめ、それとともに在ってください。たったそれだけのことで、あなたの中で、何かが大きく変わっていくでしょう。

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