無記

たまに、
クライアントさんからいただく質問で、
非常にお答えしにくいケースがあります。

答えにくいというのも、
様々な意味を含むのですが、
今回取り上げるのは、
「沈黙をもって答えるしかない」
というケースについてです。

仏教用語に「無記」という言葉があります。

あまり一般的に使うような言葉では
ないかもしれませんが、
お釈迦様が弟子からの質問に対して、
肯定も否定もせず、回答しなかった十四の質問を
十四無記と言います。

なるほど、
私はお釈迦様の足元にも及ぶような
存在ではありませんが、

黙するしかなかったお釈迦様も、
きっとこういう状態だったのかな
と思って、この「無記」という言葉が
浮かびました。

是と答えても、否と答えても、
相手にはそのことの真意が正しく伝わらない
ことがわかってしまう。

だから、答えるべき言葉がないのですね。

なぜ正しく伝わらないのかというと、
その人の認識に偏向性のあるフィルターが
かかっていたり、

回答を本当に理解するための
何かしらのパーツがまだその人の中に
揃っていないとき、その言葉が
歪んで理解されてしまうからです。

だから、どう答えても正しく伝わらない
だけではなく、その歪んだ解釈によって
さらなる迷路に迷い込ませてしまう
可能性を生じさせます。

それを避ける意味でも、
沈黙が最良の答えである
ということがあるんですね。

今回は私が回答を求められる立場でしたが、
私が質問者であった経験もあります。

かつて師と仰ぐレナード・ジェイコブソンの
リトリートに参加していた時、
私はある質問をしたのですが、
彼は沈黙ではありませんでしたが、
答えてはくれなかった時があります。

質問しながら自覚していたところでは
ありましたが、もしその時彼が答えていたならば、
その答えで私はひどく傷ついて混乱していた
だろうと思います。

そしてその後延々と、私はその言葉をもって
自分を傷つけ続けていたかもしれません。

だから、彼が答えなかったのは、
その時の最良の答えだったと思います。

質問に対する答えというのは、
その答えを受け取る人が正しく真意を
理解するように答える必要があります。

だから、同じような質問をされても、
人によってその答えは同じではないでしょう。

正しく真意を理解すると言っても、
その人の段階によっても、
正しさは違ってきますし、

その人が置かれた状況によっても、
答え方は違うでしょう。

その時々に、その人の魂が必要とする
栄養が違うのです。

だから、答える側は、
その人の魂がより成長し、輝くような
答えを適切に返す必要があります。

それを、答える側がどこまで汲み取り、
伝える術を持っているか。

グル(師)と呼ばれる人は、
それだけのものを見抜く力量を
持っている存在なのですね。

そして答えを受け取る側も、
その答えをどこまで理解し、
自分の糧とするか。

力量が問われます。

自分が理解できるくらいまで
相手が下りてきてくれて、
一から十まで懇切丁寧に教えてくれる
段階もあるでしょうし、

理解にたどり着くための
ほんのカケラを与えて、
後は自分で考えろ、と言われる
こともあるでしょう。

当然、前者が良いとばかりも言えません。

それは、幼稚園レベルの扱いですからね。
あなたはまだ赤ちゃんですよ、
と言われているようなものです。

いつまでもそんな扱いで満足している
ようでは、自分で考える力もつきませんし、
自分の人生を自分で切り開くような
発想も自主性も育たないでしょう。

完璧な正解のみを集められた
回答集を与えてもらえることを
当然と思うこと自体が、
既に歪みのある認識なのだと思います。

本来、答えは自分で見つけるもの。

ましてや、正しい答えを見つけるために
正しい問いを発しなければいけないことに
気づかないのでは、答えを得る以前の問題です。

今、自分が理解できないものを知るには
どうしたら良いのか。

そのために、今の自分にできることは何か。

自分の発した問いに答え続けていく中で、
得たかったものが具現化していく
のだと思います。

あなたは、自分の発した問いに、
どれだけ答えているでしょうか?

得ることだけが目的なのではないのですよ。

自ら答え続けていくそのプロセスなく
得たとしても、それはまったく
意味を成さないのです。

得たものを血肉とする要素が、
自分の中に備わっていないからです。

それは、問いに答え続けていく中でしか、
生まれないものだからです。

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